アラバスタ王宮の、誰にも立ち入ることのできない、ビビの私的な天蓋付きの寝室。夜の帳が降り、外の砂漠の熱気が、分厚い壁と美しい装飾によって完璧に遮断されている。
ビビは、王女の正装ではない、透けるような薄い寝衣を纏っていた。長い青いウェーブヘアを解き、ベッドサイドに座る彼女の表情は、王族としての義務から解放された、一人の女性の穏やかな熱を帯びていた。
その部屋に、静かに相手が入ってくる。
「遅いですよ……もう待てないと思ったでしょう?」
ビビは、相手を責めるように言いながらも、その瞳には甘い許しが宿っていた。彼女は立ち上がり、相手へと近づく。その一歩一歩が、王女という立場では決して見せない、ためらいのない、女性としての情熱を物語っていた。
「私の国の民は、私を強く、気高い王女として見ています。でも、今、ここであなたが見ている私は……ただの、あなたを求める女です」
ビビは、相手の胸元に手を置き、その硬い筋肉の感触を確かめる。そして、彼女の熱い唇が、相手の唇を捉えた。
王女のキスは、優雅でありながらも激しく、国の危機を乗り越えてきた彼女の芯の強さが、そのまま情熱として表れているかのようだった。
相手がその薄い寝衣に触れ、優しく布地を押し下げた瞬間、ビビの気品ある吐息が漏れる。
「んっ……ぁ、やだ……そんなに、簡単に脱がさないで」
その言葉は制止ではなく、誘いだった。彼女の口元は笑っているが、瞳は熱く潤み、渇ききった砂漠が水を受け入れるように、相手の愛撫を切望していた。
相手が彼女のなめらかな背中を抱き、ビビの青い髪がシーツに広がる。
「はぁ……っ、お願い、もっと……深く、刻みつけて。この夜が、私だけの秘密の歴史になるように……っ!」
ビビは、普段は絶対に口にしない、王女の威厳をかなぐり捨てた喘ぎを上げ始めた。その声は、豪華な寝室のクッションと天蓋に吸い込まれていき、外の世界には届かない。
彼女の身体が、これまでの抑圧と使命感から解放されるかのように、激しく弓なりになる。
アラバスタの熱砂のように、二人の中で燃え盛る情熱。
この王宮の夜は、誰にも知られることなく、一国の王女の、最もプライベートで官能的な真実を静かに見守っていた。
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